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​ともに未来を育てる

地域の人たちと学びあい、
これからの医療のかたちを育てる。
この地域に必要な医療を、ともに考える

 

この地域で、これからも安心して暮らし続けるために、どのような医療があってほしいのか。

 

その答えは、病院や診療所の中だけで見つかるものではありません。

 

日々の暮らしで感じていること、医療を利用する中で困っていること、これからも地域に残したいもの。地域のみなさんの経験や願いに耳を傾けながら、この地域に必要な医療や健康づくりを一緒に考えていきます。

地域の中で、医療を担う人を育てる

 

学生や若い医療者は、診療だけでなく、人びとの暮らしや仕事、地域の集まりにふれることで、「この地域に必要な医療とは何か」を学びます。

 

地域のみなさんは、医療を受けとるだけではありません。自分たちの経験や知恵を伝え、これからの医療を担う人を、ともに育てる存在でもあります。

この地域に必要な医療と、それを担う人を、ともに育てる。人が出会い、学びあい、小さな実践を重ねることから、地域の医療の未来が始まります。

地域の人たちと、どのように学び、考え、実践を重ねていくのか。その背景にある考え方と、活動が次へつながっていく流れを詳しく紹介します。

地域で暮らす人の話を聞き、仕事や学校、地域の集まりにふれると、医療が人びとの暮らしとどのようにつながっているのかが見えてきます。

 

さまざまな立場の人と考えるなかで、自分が目指したい医療や、これから取り組みたいことも少しずつ具体的になります。

 

こうした出会いから学び、考え、実践を重ねながら、地域の人たちとこれからの医療をつくっていく。その歩みを、私たちは「ともに未来を育てる」と表現しています。

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1.この地域に必要な医療を、ともに考える

 

1978年にWHOとUNICEFが提唱したPrimary Health Careにおいて、人びとと地域社会が意思決定に参加し、地域全体で健康を支えることが重視されています。[1]

 

この地域で安心して暮らし続けるために、どのような医療や健康づくりが必要なのか。その答えを、医療者だけで決めるべきではありません。

 

地域の人たちとともに考え、取り組むための手がかりの一つが、公衆衛生の分野で発展してきたCBPR(Community-Based Participatory Research:地域参加型研究)です。

 

CBPRでは、地域の人たちを、単に意見を聞く相手や調査の対象としてではなく、経験や知恵を持ち寄り、問いや実践をともにつくるパートナーとして捉えます。[2]

 

私たちは、地域で暮らす人の話を聞き、そこで気づいたことを体験記や活動記録としてまとめています。

 

これからは、それを地域の人たちと共有し、感想や意見を聞きながら、次の実習や勉強会、地域での活動を一緒に考え、実際に試していきたいと考えています。

2.地域の中で、医療者として育つ

 

この地域に必要な医療を考えることは、自分がどのような医療者を目指すのかを考えることでもあります。

 

医学生や若手医師は、病院や診療所で学ぶだけでなく、人びとの暮らしや仕事、学校、地域の集まりにふれることで、「この地域に必要な医療とは何か」を考えます。

 

漁業や農業を体験し、地域で暮らす人の話を聞き、そこで感じた驚きや迷いを振り返る。

 

そうした経験を通して、患者さんを、病気をもつ人としてだけでなく、仕事や役割、大切にしていることをもつ一人の人として見ることを学びます。

 

こうした学びを地域とともにつくる考え方が、Community-Engaged Medical Education(地域協働型医学教育)です。

 

地域の人たちは、学生に学びの材料を提供するだけの存在ではありません。自分たちの経験や願いを伝え、学ぶ内容や活動の進め方、この地域に必要な医療を、学生や大学とともに考えるパートナーです。

 

カナダで、地域全体を教育の場とする分散型医学教育を行ってきた北オンタリオ医科大学では、地域が学生を受け入れるだけでなく、カリキュラムの実施や学習経験に関わり、大学と地域の双方にとって意味のある関係を築く実践が報告されています。[3]

 

英国のプライマリ・ケア教育でも、地域の人たちが活動の設計・実施・評価に関わる取り組みが行われています。[4]

 

1995年にWHOが示したSocial accountabilityは、医療者を育てる大学や組織が、教育・研究・診療を地域や社会の重要な健康課題へ向ける責任を表す考え方です。[5]

 

地域の人たちと必要な医療を考えながら学び、そこで得た気づきを自分の学びや実践へつなげることは、医学教育がこの責任を果たしていくための一歩でもあります。

3.この地域に必要な医療と、それを担う人が育つ土壌をつくる

 

この地域に必要な医療のかたちも、それを担う医療者も、病院や大学の中だけで生まれるものではありません。地域の人たちが、自分たちの経験や願いを伝え、学びに関わることが、これからの医療者を育てます。

 

そのためには、地域の人と学習者が繰り返し出会い、考え、試し、振り返る機会が必要です。

 

そうした関係と機会を、ここでは「この地域に必要な医療と、それを担う人が育つ土壌」と考えます。

 

医学生や若手医師が、地域の人と出会い、感じたことを振り返り、言葉にして共有し、受け取った意見をもとに次の実習や活動を考える。

 

この循環を続けることで、自分の学びを深めながら、この地域に必要な医療を地域の人たちとともに、少しずつかたちにしていきたいと考えています。

北オンタリオ医科大学の報告でも、地域が意思決定に関わるためには、継続的な対話と直接顔を合わせる機会が重要だとされています。[3]

 

英国の実践でも、学生の活動が地域にどのような影響をもたらしたかに加え、実習期間を越えて続けられるかが評価されています。[4]

 

CBPRも、地域との協働を、長期的な関係の中で実践と振り返りを繰り返す過程として捉えます。[2]

 

私たちは、日々の診療や、学生・研修医の受け入れ、地域での活動を通して、人が出会い、対話する機会を重ねています。

 

これからは、活動後にも体験記や感想を地域の人たちと共有し、何がよかったか、負担はなかったか、次に何を試すかを一緒に確認する流れを整えていきます。

 

記録と関係を次の活動へ引き継ぐことで、一度きりで終わらない学びと実践をつくっていきます。

地域のみなさんは、医療を受けとるだけではなく、自分たちの経験や知恵を伝え、これからの医療を担う人を、ともに育てる存在です。

「暮らしにふれる」ことで、地域の人の生活や願いに出会います。「学びをかたちにする」ことで、そこで生まれた気づきを体験記や活動記録にまとめ、地域の人たちと共有します。そこで受け取った声をもとに、次の実習や活動を考え、試し、振り返る。その循環を地域の人たちと重ねていくことが、「ともに未来を育てる」へつながります。

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